センターについて - About UPST

ごあいさつ

センター長 遠藤 勝義

超精密科学研究センターは、基幹専攻である工学研究科精密科学専攻(当時)が推進するCOEプログラム「完全表面の創成」(平成8年~14年)での教育研究活動を礎として、卓越した“物づくり”の研究拠点として平成13年4月から10年の時限で開設されました。本センターは従来技術では作り得ない原子レベルの精度を有する電子・光学デバイスなどの21世紀に求められる“物”をつくるために、物理・化学現象を原子・電子論的立場から深く思考して製造プロセスに応用する「原子論的生産技術」と称する独創的な生産技術を継続的に創出することを目的としています。さらに大学での最先端技術シーズを実用化して社会に還元すると共に、これを担う人材を育成することを使命としています。

本センターでは、我が国の超精密加工の中核的研究拠点を形成すべく、研究拠点の整備と教育研究活動を推進して参りました。平成9年には、最先端の教育研究施設“ウルトラクリーンルーム”を完成させ、EEM (Elastic Emission Machining)、プラズマCVM (Chemical Vaporization Machining)、超純水のみによる電気化学加工などの世界初の画期的な加工技術や、大気圧プラズマCVD (Chemical Vapor Deposition)や表面処理方法を確立し、これら新技術の実用化に向けた装置開発を進めてきました。

平成15年からは、本センターを中核として、精密科学・応用物理学専攻および生命先端工学専攻に属する7研究室が一体となって文部科学省21世紀COEプログラム「原子論的生産技術の創出拠点」(平成15年~19年)を推進しました。平成16年には、21世紀プラザ内にウルトラクリーン実験施設が完成し、我々が有する独創的な生産技術の実用化研究、そして学内外との連携研究推進の場が整備されました。また“究極の物づくり技術”を志向した民間企業との連携研究では、平成19年にシャープ株式会社との共同研究講座「電子デバイス生産技術共同研究講座」の設置に加え、数多くの民間企業との実用化研究に取り組んでいます。

この間、基幹専攻と協力して教育研究機能の充実を図り、平成20年4月からは「新プロセス創成科学研究部門」、「機能デザイン・計測科学研究部門」、「コアデバイス開発研究部門」の3研究部門制を導入し、現在、客員教官と兼任教官を含めて、教授5名、准教授2名、助教5名が活動領域と役割を反映して配置されています。さらに平成20年には、これまでの教育研究活動が高く評価され、21世紀COEに引き続いてグローバルCOEプログラム「高機能化原子制御製造プロセス教育研究拠点」に採択されました。グローバルCOEプログラムでは、従来の加工精度や環境負荷の限界を凌駕する新たな製造技術の創出を通じて、創造性と異分野との連携能力を兼ね備えた人材の輩出を目標としており、本センターは、実用化研究と連携研究、そして異分野横断型のプロジェクト推進の場として機能しています。

近年、日本の製造業の危機が叫ばれています。資源に乏しい我が国が、今後も国際社会の中で継続的に発展するためには、誰にも創ることができない“究極の物”を、誰にも真似できない“究極の物づくり技術”で実現することが強く求められています。基礎科学分野からの要求に加え、身近なIT機器を構成する様々な“物”の精度は原子レベルに近づきつつあります。一方、我々が既に手にしている身近な“物”についても、爆発的な人口増加と諸外国の経済発展を考慮すると、省エネルギー化と環境負荷軽減を価値基準とした“究極の物づくり技術”が必要となっています。当センターでは、“究極の物”と、“究極の物づくり技術”の創造を二つの評価軸として、次世代の製造技術の研究開発を進めてきました。多くの機器を構成する“物”の寸法や加工精度が限界を迎えつつある現在、物理・化学現象を根底から理解し、これらを自由に操ることによってのみ、製造プロセスの真の高機能化が達成されると確信しています。

本センターが推進する教育研究活動を通じて、我々が提唱する高機能化原子制御製造プロセスのシーズが芽生え、そして国内外の連携機関との協業によって日本の製造業の復興に貢献できればと考えています。さらに、日本の製造業復権の取り組みを継続的に持続・発展させるためには、学問に根ざした“究極の物づくり”を実践できる人材育成が不可欠です。本センターでは、グローバルCOEプログラムをはじめとして、様々な教育活動にも基幹専攻と一体となって取り組んでおり、未来を担う若者の切磋琢磨の場となることを切望しています。

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