「原子論的生産技術」とは、物理・化学現象を原子・電子論的に理解して極限まで活用する新しい原理の「物づくり」技術です。
図1は、一般に用いられている機械加工の例を示したものです。工具を加工したい物の表面に押しつけ、機械的作用により材料欠陥を導入し、それを運動・増殖させることで表面の原子を剥ぎ取り、加工を行います。このため、加工後の表面には材料欠陥が残留します。また、加工量の制御は工具の切り込み量等を制御することで行うため、加工精度は加工機械の精度に依存するものとなり、熱変形や振動等の外乱に影響されやすく、高精度な「物」を製作するのは困難です。
これに対し、図2に「原子論的生産技術」の例を示します。加工したい物の表面原子に反応種を作用させ、反応した表面原子が自然に表面から除去される物理・化学現象を用いることで加工を行います。このため、原子配列に乱れの無い加工面を得ることが出来ます。また、加工量の制御は、反応種を作用させる時間を制御して行うため、加工精度は加工機械の精度に依存しません。用いる物理・化学現象が安定であり、加工する物の材質が均質であれば、極めて高精度な「物」を容易に製作することができます。
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